厚生労働省が公表する「令和4年 雇用動向調査結果の概要」によると、職場の人間関係の悪さを理由に退職した人の割合は、全体で約1割を占める結果となっています。
このことから、少なからず職場の人間関係に悩みがあり、退職の理由になるほどストレスを持っている人は少なくないようです。
そもそも職場の人間関係に悩む人は、どのような特徴があるのでしょうか。
今回は、職場で孤立しやすい人の特徴や孤立した時の解決策などをご紹介するので、人間関係に悩みや不安がある方は参考にしてください。
■職場で孤立しやすい人の特徴
職場の人間関係に馴染めず孤立してしまう原因は人によって様々です。
具体的にどのような人が孤立しやすいのか、主な特徴をご紹介します。
・会社の環境・文化に溶け込めない
会社の環境や文化が自分に合わず、孤立してしまうケースがあります。
例えば、仕事にできるだけ感情を持ち込まないようにしている人であれば、感情で仕事をしている人が多い環境は働きづらいでしょう。
仕事内容や評価、同僚や上司といった個人などに悪い点はないものの、飲み会やアウトドアな会社行事が多く、インドア派であるためにその雰囲気に馴染めないというケースもあります。
会社の環境や文化に溶け込めない結果、社内でも浮いた存在と扱われやすくなるのです。
・協調性に欠けている
協調性のない人は、人の意見を聞かない、マイペースでわがまま、空気を読まないなどの特徴があります。
自己中心的な言動が多く、そのせいでコミュニケーションや連携が取れないというケースは少なくありません。
仕事では、協力プレーが重視されることが多々あるため、協調性がない人は職場内で嫌われ者となり、孤立してしまう傾向にあります。
職場だけではなく、プライベートでも人間関係がこじれやすい人は協調性が足りていない可能性があります。
・コミュニケーションが足りていない
特に欠点がない人でも、職場内でのコミュニケーション不足が原因で孤立してしまっているケースがあります。
職場内の人間関係は日々の挨拶や雑談を通じて構築されます。
しかし、人と話すことが苦手で積極的にコミュニケーションをとっていない人は人間関係が構築しきれておらず、周りの人から話しかけにくい人と認識されてしまうのです。
特に話す内容が仕事のことばかりで、プライベートの会話が一切ない人はとっつきにくい印象を与えるので注意しましょう。
・ネガティブ思考になりがち
「こんな仕事、自分にはできない」「上司に嫌われているかも」などネガティブな思考になりがちな人も孤立しやすい傾向にあります。
ネガティブ思考な人は自分に自信が持てず、仕事への姿勢や普段の態度などにも自信のなさが表れてしまいがちです。
特に仕事で失敗した時には立ち直るまで時間がかかり、不安からさらにミスを犯してしまうケースもあります。
あまりの頼りなさに、仕事ができない人や浮いた人という印象が強まり、孤立してしまうことがあるのです。
また、普段からネガティブな発言が多い人は周囲の士気を下げてしまうため、避けられてしまう可能性があります。
・仕事に対する姿勢が良くない
仕事に対する姿勢が悪い人も職場では嫌われやすく、孤立の原因となってしまいます。
例えば、常にやる気がなくて指示された仕事だけしかしない人は、上司から向上心がなく頼りない人と思われてしまいます。
そんな人に仕事を任せるよりも、仕事に対して積極的で意欲のある人に任せたいと思うものでしょう。
その結果、自分に仕事が全然回ってこない状態になり、人との関わりも薄くなりやすく、孤立してしまうのです。
仕事に対する姿勢の悪さは人事評価にも影響を与えるので、注意しましょう。
■職場で孤立するデメリット
人によっては職場で孤立しても気にしないという人もいるでしょう。
しかし、職場で孤立することにはデメリットがあることを理解しておく必要があります。
ここで孤立した場合に生じるデメリットを見ていきましょう。
・仕事のやりとりがスムーズにいかない
職場で孤立することで、同僚や上司と仕事のやりとりをする際にスムーズにいかなくなる恐れがあります。
人間関係が悪いと業務に関する対話や意思疎通が難しくなり、自分や相手の仕事に影響を与えてしまいます。
意思疎通が正確に行われなかったことで、重大なミスやトラブルにつながってしまう場合もあるでしょう。
また、疑問や相談したいことが合っても意図が伝わらず、さらに周囲から浮いてしまう可能性もあります。
普段から円滑にコミュニケーションをとるためには、ある程度人間関係を良好にしておくことが大切です。
・寂しさや虚しさを感じやすくなる
上司や同僚が楽しそうに話している姿を見て、寂しさや虚しさを感じてしまうことがあるでしょう。
孤立してしまうと、仕事で上手くいったことや嬉しかったことなどを共有できる相手がいないので、寂しさを感じてしまいます。
また、自分と他の社員との接し方や対応が違うと感じるたびに、虚しさを感じることがあるでしょう。
人間関係が上手くいっている同僚を見るたびに、「なんで自分はダメだったんだろう」とネガティブな気持ちがより一層強くなってしまいます。
そのストレスによって仕事に対する意欲や集中力が減り、ミスやトラブルなども連発しやすくなる恐れがあります。
■職場で孤立するメリット
人によっては職場で孤立することにメリットを感じる場合があります。
例えば、孤立してしまえば人間関係にこだわる必要がないので、業務に専念することができるでしょう。
仕事に対する姿勢がよく評価されていれば、孤立していることが気にならなくなります。
また、飲み会やイベントなどの社内行事にも無理して参加する必要がなくなります。
人間関係を考えると、飲み会や社内行事に参加する必要があるので、業務時間外の付き合いにストレスが溜まってくるでしょう。
しかし、孤立してしまえば職場の人間関係よりも趣味や友人などプライベートを優先できるようになります。
このように職場で孤立することには考え方次第でメリットがあります。
ただし、上記で述べたとおり職場で孤立すると、コミュニケーションがうまくとれず、業務に支障をきたす可能性が高いです。
また、人間関係を気にするタイプだと、孤立することに寂しさやストレスを感じ、自分のパフォーマンスを下げてしまうことがあります。
そのため、職場の人間関係を良好にして、孤立を避けるのが望ましいです。
■職場の孤立した時の解決策
職場で孤立してしまった時、気持ちよく働くためにも改善したいと思う人は多いでしょう。
ここで孤立してしまった場合の解決策をご紹介します。
・積極的にコミュニケーションをとる
職場でのコミュニケーション不足を感じているのであれば、積極的にコミュニケーションをとって、人との接点を増やしてみましょう。
コミュニケーションが足りていないことで、自分がどんな人物なのかわからず、話しかけにくさを感じている人は少なくありません。
会話を通じて自分が本当はどんな人物なのか職場内で浸透していくことで、わだかまりが解けていくでしょう。
いきなり人の会話の輪に入るのはハードルが高いので、元気よく挨拶をする、ちょっとした世間話を振るなど、些細な行動から努力してみてください。
・話しやすい同僚や上司に相談する
職場に話しやすい同僚や上司は一人二人いるものです。
そういう相手に思い切って人間関係について相談してみましょう。
話しかけやすい同僚や上司は他の社員とも良好な人間関係を築いていることが多く、何かアドバイスをくれることがあります。
また、事情を知ってもらうことで、他の社員とコミュニケーションをとる際にさりげなくフォローしてくれる可能性もあるでしょう。
ただし、相談相手によっては自分の悩みが職場内に広まってしまう恐れがあります。
話しかけやすくても、秘密をあっさりバラしてしまうような人を相談相手にするのは避けましょう。
・家族や友人など身近な人に相談する
職場の人に相談しにくいのであれば、家族や友人など身近な相手に相談するのもおすすめです。
自分のことをよく知っている身近な相手であれば、些細な悩みも相談できます。
今つらいことや悩みを打ち明けるだけでも気持ちはすっきりするでしょう。
また、相談相手の経験をもとに人間関係に関するアドバイスやつらい時の乗り越え方などを教えてもらえる可能性があります。
客観的な意見を聞くことができるので、見直すべき欠点や仕事が合っているかどうかなどを把握でき、今自分はどうするべきなのか判断しやすくなります。
・振る舞い方を見直す
職場内でのこれまでの振る舞い方を見直すことも大切です。
例えば、自己中心的な考えが強く、相手に自分の価値観を押し付けているようであれば、それを改善しなければなりません。
相手の意見に耳を傾け、様々な価値観があることを受け入れて尊重することで、相手も自分に対する見方が変わってくるでしょう。
仕事に対して受け身のタイプであれば、積極的に自分がやるべき仕事を探し、取り組むことが大切です。
しかし、自分勝手に仕事を進めると周りに迷惑をかけてしまう可能性があるので、上司や同僚に相談や質問しながら業務に取り組むことも重要となってきます。
仕事に対する姿勢や勤務態度が悪くないか客観的に見つめ直して、悪いところを改善することで職場内での評価が変わり、孤立を改善できる可能性があります。
・マナーを身に付ける
身だしなみが整っていない、言葉遣いが悪いなどマナーに欠けていることが孤立するきっかけとなっている可能性があります。
社会人としてふさわしい振る舞いができていないと良い印象を与えられず、浮いた存在となってしまう可能性があります。
孤立しないためにも、マナーを身に付ける努力をしましょう。
マナーは本やインターネットから学ぶことができるほか、身近にいる礼儀正しい人の振る舞い方を参考にするのもおすすめです。
本格的にビジネスマナーを学ぶのであれば、セミナーに参加する方法もあります。
・困っている人のサポートをする
職場で困っている人や忙しそうにしている人がいれば、積極的にサポートに回るのもおすすめです。
サポートにまわることで、他の社員とコミュニケーションをとるきっかけになるでしょう。
また、自分が困っている時には手助けしてもらえる可能性があります。
助け合いの精神が生まれることで人間関係が良好になり、孤立の解消につながる可能性があります。
仕事を上手くサポートできた時は評価されやすくなるメリットもあります。
ただし、自分が本来やるべき仕事を投げ出してまでサポートに回らないように注意しましょう。
サポートをする際は、自分の業務に支障が出ない範囲に留めておきましょう。
・職場の人間関係を気にしすぎない
職場の人間関係を気にしすぎないことも大切です。
あくまでも仕事上の関係であり、親密な関係になる必要はありません。
仕事上の関係と割り切る気持ちを持つことで、孤独感やストレスを感じにくくなります。
お互いの仕事に支障が出ていないレベルでコミュニケーションや連携が取れているのであれば、無理に人間関係を深めていく必要はありません。
その代わりプライベートを充実させて、常に前向きな気持ちでいられるようにしましょう。
意図的に孤立させようと意地悪をしてくる人がいる場合、そういう相手にも割り切った態度は有効です。
意地悪な人は相手の困った顔や悩む姿など、反応を見て楽しんでいます。
そのため、攻撃的な言葉に対して褒め返したり、無関心な態度を貫いたりすることで、反応につまらなさを感じて次第に興味をなくしていく可能性があります。
・転職をする
職場での孤立に悩んでいるのであれば、思い切って転職するのも良いでしょう。
そもそも職場の環境や文化が合わないのであれば、解決は難しいと言えます。
それなら環境や文化、気の合う人が多い職場に転職した方が気持ちは楽になります。
転職すると人間関係がリセットされてしまいますが、新たな人間関係を構築できることが大きなメリットです。
前職の失敗を踏まえた上で新しい人間関係を作り上げていくことができれば、転職先で孤立するリスクは下がるでしょう。
職場でも人間関係は非常に重要となるため、孤立はできるだけ避けたいところです。
上司や同僚と馴染めていないのであれば、自分に孤立する原因がないか客観的な視点を持って分析してみましょう。
一人で欠点を見つけ出すのは難しいので、信頼できる人に相談するのがおすすめです。
また、孤立の原因が自分自身というよりも、職場の環境や文化、他の社員にあれば改善は難しいでしょう。
その場合、転職して人間関係をリセットしてしまうのも一つの策です。
新しい職場でも孤立しないように、自分の欠点の改善にも努めて、良好な人間関係を築いていきましょう。
