一人暮らしや夫婦世帯、子育て世帯など、どの世帯でもライフステージごとに様々なお金がかかってきます。
突然多額の出費が必要となる場合も考えられることから、「少しでも貯金をしておこう」と計画する人も多いはずです。
しかし、毎月どれくらい貯金をするかを決めておかないと、貯金がうまく続けられない、または貯金をしようとしているのにお金が貯まらないという状況になってしまう恐れがあります。
そこで今回は、年齢別の平均貯金額をご紹介しつつ、1ヶ月あたりの貯金額として理想的な金額や、自分に合った貯金額を決めるためのポイントをご紹介します。
将来に向けて少しでも多くの貯金を残しておきたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
■年齢別の平均貯金額
まずは年齢別の平均貯蓄額をご紹介します。
金融広報中央委員会が実施した「令和5年(2023年)家計の金融行動に関する世論調査」では、単身世帯・2人以上世帯に分けて年齢別に貯金額の平均値を紹介しています。
【単身世帯】
年代 |
平均貯金額 |
貯金額の中央値 |
資産非保有世帯の割合 |
20代 |
121万円 |
9万円 |
43.9% |
30代 |
594万円 |
100万円 |
34.0% |
40代 |
559万円 |
47万円 |
40.4% |
50代 |
1,391万円 |
80万円 |
38.3% |
【2人以上世帯】
年代 |
平均貯金額 |
貯金額の中央値 |
資産非保有世帯の割合 |
20代 |
249万円 |
30万円 |
36.8% |
30代 |
601万円 |
150万円 |
28.4% |
40代 |
889万円 |
220万円 |
26.8% |
50代 |
1,147万円 |
300万円 |
27.4% |
平均貯金額を見ると、30代からは500万円以上を保有する世帯も増えていることがわかります。
50代になれば平均貯金額は単身・2人以上世帯のどちらも1,000万円を超えている結果となっていました。
しかし、その一方で中央値(データを小さい順に並べた時真ん中に来る値)は単身世帯だと一番多くて30代の100万円、2人以上世帯だと50代の300万円になります。
また、資産非保有世帯の割合も単身世帯だと30~40%近くを推移しており、2人以上でも約25~35%の世帯は貯金がない世帯と言えます。
■1ヶ月あたりの貯金額はいくらが理想?
貯金額の中央値や資産非保有世帯の割合を見て安心する方もいるかもしれませんが、将来のことを考えると、何が起きるか分からないため少しでもお金を残しておくことが大切になってきます。
では、1ヶ月あたりの貯金額はどれくらいが理想となるのでしょうか?
これは一般的な数値に過ぎませんが、基本的には毎月の貯金額は給与の20~30%が理想とされています。
例えば手取り収入が毎月25万円の場合、5万円~7万5,000円を貯金するのが理想的です。
毎月5万円貯金した場合、5万円×12ヶ月で60万円、ボーナスが1ヶ月分(25万円)×2回ある場合はすべて貯金に回すことで、1年間で110万円貯金できるようになります。
ただし、生活のことを考えると毎月給与の20~30%を貯金するのは難しい人もいるでしょう。
あくまで20~30%は一般的な理想であり、各世帯によって理想の貯金額は異なってくるため、自分や家族の生活に合わせて貯金額を決めるようにしましょう。
■自分に合った貯金額を決めるためのポイント
毎月の貯金額を決める場合、目的やゴールを明確にすると貯金額も決めやすくなります。
ここでは、自分に合った貯金額を決める際のポイントを解説していきましょう。
・必要な老後資金をイメージして決める
貯金をする目的を老後資金に設定した場合は、まずどれくらいの老後資金が必要になってくるかイメージすることが大切です。
総務省統計局が実施した「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみ(無職)世帯は毎月約24万4,000円の実収入に約25万円の消費支出、単身(無職)世帯だと毎月約12万6,000円の実収入に約14万5,000円の消費支出であることがわかっています。
実収入に対して消費支出が上回っており、不足分が発生していることになります。
また、日本人の平均寿命は男性で約81歳、女性で約87歳になることを考慮して、退職してから平均寿命までの年数も含めて、必要な老後資金を計算してみると良いでしょう。
ただし、これらはあくまでも通常の生活費を想定しており、介護リフォームにかかる費用や介護施設への入居費用、介護サービスを受ける費用などは含まれていません。
また、高齢者だと子どもや孫のためにプレゼントを買ってあげるというケースも多く、生活費以外の部分で出費がかかってしまうこともあります。
こうした部分も考えつつ、老後資金から逆算して貯金額を決めてみましょう。
・まずは生活費の3ヶ月分を貯めてみる
貯金が全くない世帯の場合、いきなり老後資金をイメージして貯金額を決めたとしても、目標が高すぎて途中で挫折する可能性もあります。
そのため、まずは高い目標を設定するよりも、「できそう」と思える範囲の目標額を設定することが大切です。
例えば、まずは生活費の3ヶ月分を貯金することからスタートしてみましょう。
生活費の3ヶ月分は、例えば突然会社が倒産するなどして収入がなくなった場合に、生活を立て直せるようになるまでの生活防衛資金になります。
会社が倒産した場合は待機期間7日後に認定されれば失業保険を受給できますが、自己都合退職した場合は3ヶ月間待たないと受給できないため、生活防衛資金は3ヶ月分を目安に貯金すると良いでしょう。
また、生活費の3ヶ月分を貯金できたら、次は6ヶ月分を目指して貯金してみてください。
■毎月貯金するためのコツ
貯金を頑張ろうと思っていても、つい生活費がピンチになり、貯金に回そうとしていたお金に手をつけてしまう場合もあるでしょう。
そのような事態に陥らないためにも、毎月貯金を続けるためのコツも知っておくことが大切です。
・何にどれくらいお金を使っているか把握する
貯金を続けるためのコツとして、まずはお金の流れを把握することが重要になってきます。
家賃や保険料など毎月かかる固定費はほとんど値段が変わらないため、把握もしやすいでしょう。
しかし、家賃や保険料以外にも毎月固定で支払っているものもあります。
例えば毎日500円のカフェオレを購入していた場合、500円×30日=1万5,000円かかっていることがわかります。
1ヶ月で1万5,000円、1年間だと18万円にもなります。
このカフェオレで仕事のモチベーションが高まっていて、昇給に向けて頑張れるのであれば無理に削る必要はありません。
しかし、特に買う理由もなく、何となく買っているのであれば削るべき支出と言えます。
また、あまり利用していないサブスクに加入したままになっていると、ずっと無駄にお金を払い続けていることになるため注意が必要です。
サブスクは一度解約しても、利用したい時に再び始められるものも多いため、利用頻度の低いサブスクは解約を検討してみましょう。
・先取り貯蓄をする
先取り貯蓄とは、毎月口座に振り込まれる給料から先に貯金する分を分けておき、残りの金額で生活する方法です。
先取り貯蓄をすると、最初から貯金分が生活費の中から抜かれているので、貯金分から生活費に手をつけてしまうこともありません。
先取り貯蓄を成功させるためには、目標の貯金額をあまり高くし過ぎないことと、生活費用の口座とは別に貯金用の口座を作り、そこに自動振り込みがされるようにしておくことで成功率は高まります。
余った生活費を貯金に回すよりも、確実に貯金が行えるのでぜひ実践してみてください。
今回は、年齢別の平均貯金額や自分に合った貯金額を決めるためのポイントを解説してきました。
毎月の理想的な貯金額は各世帯によっても異なります。
自身の生活や将来のことを考えた上で具体的な目標額を設定し、コツコツと続けていくことが大切です。