クレジットカードでの決済やショッピングなどで付与されるポイントは、一般的に電子マネーや他のポイントへの交換、ショッピング時の決済で使うことが多いでしょう。
ポイントの種類によっては、ポイント運用やポイント投資に使うことが可能です。
ポイント運用とポイント投資、どちらもサービス内容は同じ印象を受けますが、実際は異なるサービスなので、特徴を理解して利用する必要があります。
今回は、ポイント運用とポイント投資の違いについてご紹介します。
それぞれのサービスのデメリット・デメリット、向いている人の特徴、運用のコツについてもご紹介しているので、ポイント運用やポイント投資を始めたいと思っている方は参考にしてください。
■ポイント運用やポイント投資とは?
まずは、ポイント運用とポイント投資がどのようなサービスなのか、主な特徴から解説します。
・ポイント運用の特徴
ポイント運用は、運用会社にポイントを預けることで、そのポイントを運用して増やせるサービスです。
投資対象となる株式や投資信託の値動きに合わせて、運用しているポイントが増減します。
また、運用によって増えたポイントは引き出してショッピングなどに使うことが可能です。
ポイントそのものを運用するサービスであるため、現金と併用することはできません。
・ポイント投資の特徴
ポイント投資は、ポイントを使用して株式や投資信託といった投資商品を購入し、運用するサービスです。
こちらは現金とポイントを併用して、投資商品を購入することができます。
ポイントで買った投資商品を売却すれば証券口座から現金を引き落とすことが可能です。
■ポイント運用とポイント投資の主な違い
ポイント運用とポイント投資は、同じポイントを使うサービスですが、まったく内容の異なるサービスなので違いが色々あります。
主な違いは以下のとおりです。
・サービス内容の違い
ポイント運用は、ポイントの運用を通じて、投資を疑似的に体験できるサービスです。
それに対してポイント投資は投資商品の購入費用としてポイントを使い、実際に投資を運用するサービスになります。
ポイント運用はポイント自体を増やすことを目的にしていますが、ポイント投資は投資及び資産形成が目的である点が大きな違いです。
■投資対象の違い
ポイント運用の対象商品は運用会社ごとに異なり、選択肢はポイント投資よりも少ないです。
ポイント投資は幅広い銘柄の中から自分で商品を選び、投資することができます。
また、ポイント運用と違って現金の併用も可能なため、使用するポイント以上の金額で投資することが可能です。
・口座の必要性や引出方法の違い
ポイント運用をすればポイントが増える可能性があり、そのポイントを引き出して有効活用できます。
運用するために証券会社の口座を解説する必要はありません。
一方、ポイント投資はポイントで購入した投資商品を売却することで、現金で利益を得られます。
運用や利益を銀行口座に出金するためには、証券口座の開設が必須です。
■ポイント運用をするメリット
ポイント運用をすることには、以下のメリットがあります。
・証券口座がなくても運用できる
ポイント運用であれば、IDやパスワードを登録するだけで、証券口座を開設しなくても始めることができます。
ポイント投資の場合、証券口座がなければ新規開設が必要です。
オンラインの証券口座であれば当日~1日程度で開設できますが、本人確認書類の提出方法によっては時間がかかるでしょう。
その点、ポイント運用は思い立ったらすぐに始められるメリットがあります。
・手持ちのポイントを増やせる
手持ちのポイントを増やせることも大きなメリットです。
普段ショッピングなどでよく使っているポイントであれば、増えて困ることはないでしょう。
また、ポイントによっては有効期限があり、期限が切れたポイントは消滅してしまいます。
ポイント運用は定期的にポイントを追加して運用することになるので、期限切れになりそうなポイントを有効活用できるのもメリットです。
・現金が減るリスクがない
ポイント運用は、現金を一切使わずに運用するので、現金が減るリスクがありません。
ポイントを追加したり、引き出したりするタイミングは個人の自由なので、現金が損失するリスクなく投資を疑似体験できます。
■ポイント運用をするデメリット
ポイント運用をすることのデメリットは以下のとおりです。
・ポイントが減るリスクがある
ポイント運用では、株式や投資信託、金融市場などと連動してポイントが運用されています。
そのため、対象の投資商品の価格が下がれば、それに合わせてポイントも減ってしまいます。
現金が減るリスクはないものの、運用中のポイントが減ってしまう可能性があることを念頭に置いておきましょう。
・運営会社によるルール変更や破綻する可能性がある
運営会社が突然ポイント運用に関するルールを変更する可能性があります。
例えば、ポイントの引き出しに時間がかかる、引き出しに手数料がかかるなど、利用者が不利になるルールに変更される場合もあるでしょう。
他にもポイントを運用する運用会社が破綻し、地道に運用したポイントが消失してしまう可能性があります。
実際の投資では、証券会社は預かった資産と会社自身の資産は別々に管理しているので、破綻しても顧客の資産を取り戻すことが可能です。
しかし、ポイント運用にはそのような措置はないため、破綻によってポイントを失うリスクがあります。

■ポイント投資をするメリット
ポイント投資をするメリットは以下のとおりです。
・貯まったポイントで気軽に投資ができる
普段から貯めているポイントを使って、気軽に投資を始められることがメリットです。
本来、投資をするためには現金が必要となります。
しかし、ポイントを併用すれば使う現金を少なくできる分、投資することへの心理的なハードルを下げることができるでしょう。
・NISA口座も対象
ポイント投資によっては、NISA口座も利用できます。
NISA(少額投資非課税制度)は、専用口座を通じて所定の有価証券に投資した場合、売却益や配当金にかかる税金を非課税にできる制度です。
税制優遇によって投資で得られる利益が大きくなるので、投資初心者にもおすすめです。
・少額投資が可能
ポイント投資は少額から始められるようになっています。
投資に必要なポイントが多いと損失が大きくなり、精神的なダメージも受けやすいでしょう。
しかし、少ないポイントであれば、損失も小さく、受けるダメージも少ないと言えます。
現金と併用する場合も少額投資を心がければ、損失や精神的なダメージを抑えることが可能です。
■ポイント投資をするデメリット
ポイント投資をするデメリットは以下のとおりです。
・損失による元本割れのリスクがある
ポイントで買った投資商品は、常に価格が変動しているので、購入した時点から価格が下がれば損失が生じてしまいます。
場合によっては購入した時の価格よりも大きく下回り、元本割れを起こす可能性もあるでしょう。
・少額投資でも手数料が差し引かれる
ポイント投資は一般的な投資とほぼ一緒なので、各種手数料が発生します。
例えば、投資商品を買い付けるごとに、購入手数料が発生します。
売却した際も売却手数料が発生するので、売却益を満額で受け取ることはできません。
投資信託ではプロに運用を任せることになるので、信託報酬と呼ばれる手数料が発生します。
これらの手数料は投資額が少額かどうかに関係なく発生します。
少額投資はリスクが低い分、手数料によってはリターンが少なくなる恐れがあるので注意してください。
・購入可能な投資商品が限られる
ポイント運用に比べて投資対象の投資商品は多くなります。
しかし、一般的な投資と比べると購入可能な投資商品が限られてしまう可能性があります。
金融機関によって取り扱っている投資先が異なるため、しっかり確認した上で証券口座を開設するようにしましょう。
■ポイント運用とポイント投資に向いている人とは
ポイント運用やポイント投資を始めるにあたって、どちらが自分に合っているのか考えて利用するサービスを選ぶようにしましょう。
ここで、ポイント運用とポイント投資のそれぞれがおすすめの人の特徴をご紹介します。
・ポイント運用がおすすめの人
ポイント運用がおすすめの人の特徴は以下のとおりです。
◎ポイントを増やして有効活用したい人
◎有効期限切れが近いポイントをどうにかしたい人
◎投資を体験してみたい人
ポイントを増やし、それを有効活用することが目的な人にはポイント運用が適しています。
使っていないポイントを消滅させることに抵抗がある人もポイント運用に回せば、損した気分になるのを回避できるでしょう。
現金を一切使わないので、リスクなしで投資を体験してみたい人にもおすすめです。
・ポイント投資がおすすめの人
ポイント投資がおすすめの人の特徴は以下のとおりです。
◎お試しで投資を始めてみたい人
◎少額投資でリスクを抑えて投資をやりたい人
◎使い道のないポイントを保有している人
◎自分で運用する商品を選びたい人
ポイント投資ならポイントで投資商品を購入できるので、本格的に投資を始める前にお試しで投資ができます。
また、現金と併用すれば少額投資が可能なため、リスクを抑えて投資がしたい人にもおすすめです。
また、運用する投資商品を自分で選べるので、自分の投資スタイルに合わせた商品を選んで投資を始めたい人にも向いています。
■ポイント運用・ポイント投資を成功させるためのコツ
ポイント運用とポイント投資はどちらも手軽さが魅力ですが、運用を成功させるにはコツがあります。
最後に、ポイント運用とポイント投資を成功させるためのコツをご紹介しましょう。
・ポイント運用の場合
ポイント運用で最も大切なのは、毎月ポイントの積立を続けることです。
積み立てたポイントに応じてポイントは増えていくので、コツコツと積み上げていきましょう。
運用会社によって1~100ポイントの少額で追加できるので、一度にたくさんのポイントを追加することに抵抗がある人も安心です。
ポイント運用は基本的に放置で問題はありませんが、定期的に運用状況を確認しましょう。
投資では、価格が低い時に購入して、反対に高い時に売却するのが基本です。
ポイント運用でも下がった時に買い足して、上がった時に利益を確定させるという運用方法で投資感覚を身に付けることができます。
とは言え、本物の投資商品に投資するわけではないので、始めのうちは特にタイミングを気にせずポイントの追加や引き出しを行っても問題ありません。
しかし、ポイント運用にも損失のリスクがあるので、運用した分が無駄にならないように定期的に運用状況を確認して、必要なタイミングで引き出すことを心がけましょう。
・ポイント投資の場合
ポイント投資をする上で意識したいことは以下のとおりです。
◎少額かつ分散投資を心がける
◎毎月コツコツと投資する
◎ポイント投資を目的にポイントを増やすことをしない
ローリスクで投資をするためには、少額かつ分散投資が基本です。
投資額が多いほどリターンは大きくなりますが、その分損失も大きなものとなります。
いくらポイントでも大きな損失を避けるためには、少額投資で毎月コツコツ積み立てていくのが堅実です。
また、投資商品のすべてが同じ値動きをするわけではないので、利益が出ている商品もあれば、損失が出ている商品もあります。
1つの商品に投資すると値下がりした時に、大きな損失を招く恐れがあります。
そこで、異なる商品に分散的に投資をしておけば、損失の影響を軽くすることが可能です。
投資信託の場合、1本の商品で複数の資産が組み入れられたバランスファンドがあるので、そのような商品に投資してみるのも良いでしょう。
また、ポイント投資をするためだけに、ポイントを貯めようとショッピングの回数を増やすなどの行為は避けましょう。
ショッピングで返ってくるポイントはごくわずかなので、商品の購入金額と割が合わないと言えます。
ショッピングで無駄に浪費するぐらいなら投資の資金に回した方が得かもしれません。
今回は、ポイント運用・ポイント投資の違いやメリット・デメリットなどをご紹介しました。
どちらも手持ちのポイントを使うサービスですが、運用の目的に違いがあります。
ポイントを増やしたいのか、資産運用をしたいのか目的を明確にした上で、ポイント運用やポイント投資を始めてみましょう。