「貯金を始めた方がいいのはわかっているけれど、やりくりの方法がわからない」
「みんなどれくらい貯金しているの?」
お金に関する疑問はなかなか人に聞きにくいものです。
そこで20代で貯金を始める必要性や目安などについて解説します。
■20代の平均貯金額は?
金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年度)」によれば、20代の総世帯の金融資産保有額の平均は266万円、中央値は120万円とのことです。
預貯金額の平均は131万円、うち定期性預貯金額は33万円でした。
・金融資産とは?
金融資産保有額とは、株式や投資信託、財形貯蓄など預貯金以外の金融資産もすべてまとめた金額をいいます。
つまり266万円には預貯金額の131万円が含まれているのです。
金融資産保有額では中央値も算出されています。
中央値とは、集計結果を数値が大きい方から並べた際に真ん中だった数値を意味しています。
貯蓄額の分布をみると、「100万円未満」が39.2%と一番多く、次いで「100~200万円未満」の18.5%となっています。
中央値は120万円ではあるものの、100万円未満の割合の多さがわかる結果となりました。
・世帯によっても金額が大きく異なる
この調査では20歳を対象に単身世帯・二人以上世帯・総世帯でまとめられています。
金融資産保有額の平均額は二人以上世帯では403万円であるのに対し、単身世帯は219万円と、約半分という結果でした。
一方で預貯金額は次の通りとなっており、あまり差がないことがわかります。
◎総世帯:131万円(うち定期性預貯金:33万円)
◎二人以上世帯:170万円(うち定期性預貯金:54万円)
◎単身世帯:118万円(うち定期性預貯金:26万円)
■理想は収入の20~30%
20代で貯金にまわす金額として一般にいわれているのが「収入の20~30%」です。
というのも、20代はまだ養う家族がおらず、親の介護などのも必要ないため、人生のなかでも自由にお金が使える貴重な時期です。
この時期にしっかりと貯金ができていれば後々助かる場面が出てくるでしょう。
とはいえ、実家住まいか一人暮らしかで状況が変わります。
一人暮らしであれば10~20%、実家暮らしであれば30~40%ほどは貯金にまわせるのが理想です。
■やっていたら要注意!お金が貯まらない原因
貯金をしようと決めたはいいものの、なぜか思うように貯まらない・・・と悩む人も多いでしょう。
ここからはお金を貯める際にやってはいけないNG習慣をみていきます。
・リボ払いを利用している
クレジットカードには、使った金額にかかわらず、毎月一定額を支払うだけで利用できるリボ払い(リボルビング払い)という機能があります。
「いくら使っても一定額の支払いだけで済む」と聞くととても便利な気がしますが、支払い回数が増えると手数料も増えるため、手数料の支払いだけで高額になってしまったり、いつまで経っても返済が終わらなかったり、なんてことも起こりえるのがリボ払いの特徴です。
お金を貯めたいのであればリボ払いの利用は避けた方がいいでしょう。
・キャッシングを利用している
リボ払いと同じように注意が必要なのがキャッシングです。
ATMなどですぐにお金が借りられるところもあり、急な出費などの際には心強いですが、その金利は年18.0%ほどと高額です。
便利だからと頻繁に利用していると利息だけが増え続けてお金を貯めるどころではなくなってしまいます。
・コンビニやカフェをよく利用している
お金が貯まりにくい人の傾向として、コンビニやカフェの利用頻度の高さがあります。
通り道にコンビニやカフェを見かけるとつい入ってしまい、気付けば毎日のようにお金を使っているなどという場合はすぐにやめましょう。
1回の支出は少額でも、年間でみればそれなりの金額になります。
たとえ1日300円程度でも20日で6,000円、それが1年続けば72,000円にまで膨らみます。
「少しくらいなら大丈夫」と安易に考えているといつまで経ってもお金は貯まらないでしょう。
・収支を把握していない
お金が貯まらない人の特徴の一つに、収支の把握ができていないことが挙げられます。
毎月いくらの収入があり、どれだけの支出があるのかが把握できていなければ、貯金に回せるお金など算出できません。
支出には固定費と変動費があります。
毎月かかるものもあれば支払いは年に1回だけというものもあるでしょう。
まずはそれらをすべて洗い出し、「1ヶ月にいくら使っているのか」「年間でいくら必要なのか」を把握するところから始めなければなりません。
・お金を貯める目的や目標がハッキリしていない
ただ漠然と「貯金をしよう」と決めただけでお金を貯められる人はごく少数です。
多くの人はモチベーションが維持できずに早々にやめてしまうでしょう。
お金を貯めるには目的や目標が必要です。
旅行や車の購入、引越し費用など、お金を貯める目的や期間を明確にしておくと行動に移しやすいです。
■ライフイベントで必要な資金の目安
貯金の目的としてライフイベントも挙げられます。
確かにライフイベントには資金が必要ですが、どれくらい貯められればいいのかピンとこない人も多いのではないでしょうか。
20代から備えておきたい資金の目安をみていきます。
・結婚
挙式や披露宴、指輪や新婚旅行代金など、結婚には多くのお金が必要です。
結婚式だけでも300万円ほどかかるといわれており、結納を含めると450万円ほどになる計算に。
両親からの援助や披露宴参加者らのご祝儀などを受け取ることもできますが、資金はあるに越したことはないでしょう。
・子どもの学費
子どもを希望している場合は学費の用意も必要です。
「結婚後、夫婦二人で貯蓄を始めればいい」と考えがちですが、子どもを授かるタイミングによっては思うように貯められない可能性も。
学費などの教育費は子どもが成長するにつれて増加していきます。
大学進学をするとなると子ども一人につき1,000万円程度かかるともいわれています。
これらを月々の収入から捻出するのはあまり現実的ではなく、早めの準備が必要です。
・老後の備え
貯蓄が必要なものとして老後資金も忘れてはなりません。
総務省統計局が行った「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦二人世帯で必要な生活費は1ヶ月約23.6万円だそうです。
年金の支給だけでは生活できないおそれがあるなか、今からしっかりと貯めておく必要があるでしょう。
■無理なく貯金を続けるコツは?
必要性はわかっていても、なかなか思うように貯められないという人も多いでしょう。
無理なく貯金を続けられるコツをみていきます。
・定期的に支出を見直す
貯金を始める際に必要なのが支出の把握ですが、定期的にチェックすることでムダを防ぐことができます。
特に家賃や利用料など、毎月かかる固定費は定期的に見直すようにしましょう。
固定費を節約できれば自然と貯金額を増やすことができます。
・支出が少なくなる時期を把握しておく
一般的に、結婚前の独身時代と、子どもが中学生になるまで、子どもの独立後は大きな支出があまりなく、貯蓄がしやすい時期だといわれています。
このタイミングに集中的に貯蓄を行えば家計の負担を抑えることができるでしょう。
・「お金を使う楽しみ」を用意しておく
貯金のためだからと節約ばかりしているとストレスが溜まり逆効果になるおそれがあります。
何事も長く続けるには適度なガス抜きが必要です。
貯金に回すお金から少し分けて、好きなことに使えるお金を用意しましょう。
お金を使う楽しみがあることで貯金へのモチベーション維持になります。
20代のうちは自由に過ごしたいと考えがちですが、今後の人生を考えれば貯金を始めるベストなタイミングです。
お金に対する習慣を見直し、貯金しやすい体質を作っておくことが大切です。